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壮絶人生を描いた映画『ヒミズ』も見逃すな

壮絶人生を描いた映画『ヒミズ』も見逃すな

 しあわせカモンのように、辛い境遇にありながらもそれにめげずに進んでいくストーリーの一つです。ただし、しあわせカモンのような救いの要素は少なく、全体的に悲惨さが際立っている作品かと思います。

ヒミズのあらすじ

人気漫画を原作として、個性派監督が撮影した鬼気迫る映画映画です。タイトルのヒミズと言うのは「トガリネズミ目モグラ科」に分類された哺乳類で、少し小さめのモグラのような生物なのですが、このストーリーの主役が、そんなヒミズのように日の目を見ることが無くも、平凡で地味な幸せのある生活を夢見ているのだという事を表しているのです。そんな主役ですが、ありふれた中学生であろう、平凡な人生であろうと望んで生きていくのですが、どんどんとその内容は平凡からかけ離れていきます。平凡な人生でありたいと言ったことに対して、自らの教師にもっと頑張れ夢を抱けと言われてしまうほど、それを切実に欲している主役ですが、かつて蒸発したのにも関わらず突如戻ってきた父親からの虐待を受けたり、母親が中年男と駆け落ちし、失踪したりなどドンドンと人生が平凡からかけ離れていくのでした。

評価

 一般的に大衆向けとされた表現や演出などが一切無い、ひと味もふた味も違ったものが本作です。とにかく重く悲しいリアルが目の前に立ちはだかり続け、平凡に生きていきたい。大きな喜びが無い代わりに、大きな悲しみもない、そんな人生が欲しいと望む主役が、どんどんと過酷なリアルにさらされていきます。非常に皮肉が効いた構成で演出されており、普通でありたい平凡でありたいと仏頂面で語る主役と、そのリアルとの差異がえげつないほど克明に描かれていきます。

 本作の監督、「園子温」作品全般に言えることですが、とにかく目をそらせない、忘れようと思っても忘れることの出来ないものが非常に多く、その不思議な作風にこころと感覚をえぐられます。「愛のむき出し」や「冷たい熱帯魚」などの映画から更に磨きがかかった表現で、辛辣に心を苛んでいくのです。幸せがそばにあっても見えない見ようとしない。自分で全く制御不能な悲しい境遇の中「一度人生につまづいたら、自分の価値観を変えるしかない」といったヒロインの言葉が重く響いてきます。救いようがないことを受け入れることしか無い。しかし、自分自身の価値観がそれをどうしても受け入れようとせず、がんじがらめになり、自らを自らが追い込んでしまっているというリアル。原作のコミックスと違い「死」を選ばずに生きていく。しかし、生きていてもいいことは無い。それでも生きていくしか無い。希望は全くない。でも、それでも生きていくしか無い。生きていくことに向き合うしか無い。「頑張れ。頑張れ」という言葉が作中でも繰り返されますが、ラストにおいてもその言葉が非常に重く切なく感じられました。「頑張れ」という言葉に込められた虚しさやどうしようもなさと、それでもくいしばって進むしか無いという決意に、本当の意味で心をえぐられます。

ちなみに、原作マンガからかなりいじった作品になってはいますが、こちらはこちらで作品として完成された素晴らしいものとなっているのです。勿論、原作漫画もお薦めです。是非確認してみてください。

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キャスト

  • 住田祐一…染谷将太
  • 茶沢景子…二階堂ふみ
  • 夜野正造…渡辺哲
  • まーくん…諏訪太朗
  • 藤本健吉…川屋せっちん
  • 田村圭太…吹越満
  • 田村圭子…神楽坂恵
  • 住田の父…光石研
  • 住田の母…渡辺真起子
  • てつ…モト冬樹
  • 茶沢の母…黒沢あすか
  • 茶沢の父…堀部圭亮
  • 金子…でんでん
  • 谷村…村上淳
  • テル彦…窪塚洋介
  • ミキ…吉高由里子
  • YOU…西島隆弘
  • ウエイトレス…鈴木杏
  • シュウ…新井浩文
  • コメンテーター…宮台真司
  • 怪しい男…手塚とおる
  • 妊婦の義母…木野花
  • ヤンキー《ファミレスの客》- 坂ノ上朝美

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スタッフ

  • 脚本・監督…園子温
  • 原作…古谷実
  • 製作…梅川治男、山崎雅史
  • 音楽…原田智英
  • ラインプロデューサー…鈴木剛
  • 撮影…谷川創平
  • 美術…松塚隆史
  • 照明…金子康博
  • 録音…深田晃
  • 編集…伊藤潤一
  • 製作・著作…ギャガ、講談社
  • 制作プロダクション…ステューディオ スリー
  • 配給…ギャガ